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特殊緑化への取組み

特殊緑化の開発は高速道路から始まった

きっかけは中央分離帯のローメンテンス化

きっかけは中央分離帯のローメンテンス化 日本経済がバブル景気に沸く1988年、高速道路では交通量の増加が続いており、芝生と樹木で構成される中央分離帯植栽の維持管理作業(交通規制)が引き起こす渋滞が問題になっていました。そこで、高速道路を管理する日本道路公団(当時)は、この渋滞対策として、維持管理の容易な植栽形態として刈り込み作業が不要なツタ(西洋キヅタ、ヘデラ類)を利用した新形態の中央分離帯の植栽方法を試験的に導入し始めました。
当社は、日本道路公団が考案したこの植栽方法について、製品化に向けた共同開発に取り組むことになりました。その結果完成したのが、つる性植物を絡ませたトレリスを利用した垂直面の緑化と、地表面を緑化する地被植物から構成される“ニュー・トピアリー”と称する新形態の中央分離帯の植栽方法でした。このツタを利用する技術が、やがて壁面緑化技術へと進化していく基礎になったのです。

ツタを利用した緑化工法の導入により、維持管理の大幅な省力化と渋滞問題の解決を実現した一方で、新たな課題も浮上してきました。ヘデラによる地被は、芝生と異なり植栽当初の植物による被覆率が低いため、ヘデラが繁茂するまでの雑草対策が不可欠だったのです。この問題を解決したのは、当時処理に困っていた高速道路の磁気通行券でした。回収された通行券からなる再生紙と不織布や樹脂コーティング等を組み合わせ、2~3年の長期耐久性に優れた古紙再生ペーパーマルチング材“ハイテクマルチングパネル”を開発したのです。
これにより、初期の雑草管理が極端に省けるとともに、将来(2~3年後)のヘデラの繁茂を見越した低密度植栽を可能にしました。

ヘデラによるトレリスの技術は壁面緑化へ

当初、中央分離帯のトレリスは、金網とヘッドライトの減光用遮光ネットを組合せたものでした。しかし、このトレリスにはヘデラが思うように登はんしませんでした。当時、ヘデラ類は下垂緑化が多く登はんが必要な緑化には向かないと考えられていました。そこで、この登はん問題を解決するため、ヘデラ類の性質を研究することから始めました。この研究と、幾度となく繰り返した植栽試験から、天然素材のヤシ繊維がヘデラ類の気根の吸着形態と相性がよく、生育もよいことが分かりました。このヤシ繊維の「登はんシート」と金網を一体化させ、新開発の中央分離帯用トレリス“ヘデラ登ハントレリス”が完成しました。さらに、それまでの中木植栽に代わり、ヘデラ植栽により維持管理コストを低減できる遮音壁や擁壁の緑化補助資材“壁面緑化パネル”へと進化しました。

時代のニーズに合わせ建物の壁面緑化へ

2000年、東京都は都市のヒートアイランド対策などを目的に、一定規模以上の開発では建物屋上面積の20%以上の緑化を義務化する施策をスタートさせました。これを契機に、建物の屋上及び壁面の緑化への取り組みが各地で加速していったのです。
このような時代の流れを受け、当社は土木用に利用されていた“壁面緑化パネル”を建物壁面に適応した技術へと改良を進め、ヘデラ登ハンシステム“ツルパワーパネル”を完成させました。
この製品技術は特許を取得し、信頼と実績から、今日では造園・建築・土木分野の様々な場面・用途で利用されるようになりました。
また、グループ会社を含めた施工等実績は、おかげさまで、屋上・壁面・特殊緑化技術コンクールにおいて表彰※1)されるまでになりました。

※1)表彰歴
第3回 『壁面・特殊緑化大賞(国土交通大臣賞)』「名古屋文化小劇場(ちくさ座)壁面緑化」
第8回 『壁面・特殊緑化大賞(国土交通大臣賞)』「トレッサ横浜・北棟 壁面緑化」
第11回『都市緑化機構会長賞』「東急東横線元住吉駅~日吉駅間壁面緑化」

“特殊な”特殊緑化技術 ~高速道路のり面の樹林化~

当社の特殊緑化への取り組みのもう一つの流れは、のり面の樹林化です。高速道路の整備が進むにつれて多くの盛土のり面、切土のり面が出現しました。日本道路公団では盛土のり面の樹林化にいち早く取り組んでいましたが、成木を植えるのではコストがかかるため、将来完成形の苗木植栽を中心に行っていました。ここで問題となったのは、広大な苗木植栽のり面は放っておくと雑草地となり、せっかく植えた苗木も枯れてしまったり、著しく生育不良になったりすることでした。
そこで、耐用年数5年以上の防草と乾燥防止の効果を持ったマルチング材の開発に取り組みました。素材は当初は合板そしてリサイクル厚紙、化学繊維と変化するとともに形状も大きさも改善されました。このマルチング材の利用により、盛土のり面での苗木の活着率は飛躍的に向上しました。
盛土のり面の次に切土のり面の樹林化への取り組みが始まりました。切土のり面では、のり面の安定確保と施工性の観点から穴を掘って植えることは現実的ではなく、従来の技術では網柵や板柵などと客土を組み合わせることが一般的でした。
しかし、これではあまりにもコストがかかりすぎます。日本道路公団と当社の技術陣は、張り苗工法や置き苗工法、あるいは新たな工法が適用できないか検討と試験を重ねました。 この共同研究の結果開発されたのが、現在の袋苗工法“EG植栽パック”です。従来のように植穴を掘削することなく、保水・集水機能・マルチング機能も備えたパックに苗木を植え付け、植栽地に置くだけで緑が育つ画期的な工法です。
また、簡単・確実・安価に緑化できるだけでなく、採取種子から育成した地域性苗をパックに植え付けることにより、遺伝子レベルでの植生復元も可能にしました。 “EG植栽パック”は、現在では高速道路のみならず、のり面の岩砕盛土、切土のり面など植栽困難地の緑化資材として幅広く利用されるに至りました。
新東名高速道路では、この技術が認められ、全線を通して大量に採用されています。


もうひとつの特殊緑化、駐車場の舗装面緑化

都市緑化では、屋上緑化、壁面緑化につづく新たな緑化空間として、駐車場緑化が注目を浴びています。法令上の緑地面積確保、景観や環境への配慮など、その理由は様々と考えられます。 しかし、駐車スペースはタイヤの踏圧、エンジン熱、日照量不足、有効土層の不足など、植物が生育するにはストレスの絶えない環境といえます。駐車場緑化の失敗事例と思われるケースも少なからず見られるのは、このような植物生育にとって厳しい環境条件が十分に解決されないまま緑化が進められた結果でもあるでしょう。
そこで当社は、造園・緑化の専門家として胸を張れる、車両下の過酷な環境でも長期間みどりが維持されることを最優先課題と位置付けた駐車場緑化工法の開発に向けた試行錯誤を始めました。

まず、これまでの植物保護材では50~70mm程度であった植栽スペースの厚みを、芝生をできる限り健全に生育させるため100mm確保することにしました。 さらに、駐車場の場合、転圧された下層(路盤)への根系伸長よりも、横方向への根の広がりを容易にさせることが重要だと考えました(連続した植栽基盤)。そこで、植物保護材のリブなどの構造部材が植栽スペースへ張り出すことなく強度を保つことができる構造を検討しました。これにより、植栽スペースを広く確保し、ポット苗等の植栽も可能にしました。 そして、この植物保護材で確保された植栽基盤に植栽する植物についてですが、これまで駐車場緑化で採用されるのはほとんどが芝でした。品種にもよりますが、普通、芝は冬枯れし一年を通して緑の景観は保てません。そこで、常緑のタマリュウを使用することを検討しました。タマリュウは、一般的に芝より耐陰性に優れていることから、日照量不足が懸念される車両下の生育環境やビルの陰となる都市部の駐車場に適していると判断しました。さらに、タマリュウは成長スピードが芝よりも遅く、草丈も高くならないため、施工後のメンテナンスが省力化できるというメリットがあることにも着目しました。

これらの検討条件にもとづき幾多の試験の末にカタチとなったのが植物保護材“GTPパネル”と、GTPパネルを用いた駐車場緑化工法“グリーンテクノパーキング”工法なのです。 グリーンテクノパーキングは、2008年の発売以来、徐々にですが全国で施工事例が増加してきました。その間も、駐車場緑化専用培土や歩行性改善のための追加資材などの開発・販売も進めてきました。
さらに、植物安定生育へ向けての改善、一層のコストダウンなど継続的に取り組みつつ、技術・工法の熟成に努めています。
当社では、このように多くの特殊緑化工法、製品を生み出し、それらに係わる多数の特許※2)を取得してきました。新しい緑化のニーズを先取りする技術の開発や革新は、現場の問題を科学的に根本から解決しようとする姿勢と、常に新しいことに挑戦するスピリットを持ち続けたからだと思います。この挑戦はこれからも続きます。

※2)特許取得件数 23件(グループ会社含む)



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